RFとLEGACYを愛する青年の徒然ノート |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 どこで生まれたのかは見当がつかぬが、最初は人間に連れられて雪の降り積もる場所に行った記憶がある。 やがて幾ばくかの日が流れ、この京都という地の空気に少し慣れてきたかと思った頃、一疋の少年とも青年とも言えるような雄の人間が現れた。 「店」の人間とは明らかに服装が違うそれは辺りを何度か見回して吾輩の元に歩いて来、そして体全体を見まわし始めた。 そして何かを確認するように見回した後、店の人間と話をしながら少し離れた机に向かい店の人間によって持ってこられた紙に何やら色々と記している。 「お、ハンコ押したね。って言うことは買われたんだね!おめでとう!」とその様子を見ていた隣のバイクが話し掛けてきた。 何も知らないでいた吾輩は買われたとは何か?ハンコとは一体?と尋ねると「ん、まぁ君は晴れて購入されて新しい主人、オーナーの元に行くようになったって事だよ。店があの子に売却したとも言えるか。」と答えられた。 売却と言うことはまたどこかへ連れられて行く事なのか。ではまたトラックの荷台に横向きに並べられて空気の異なる地に降り立つのか。 そんな事を思考していると「今度は輸送じゃなくて新たなオーナーを乗せて自分で走るんだと思うよ。久しぶりに動くのだからちゃんと整備して貰えるといいね。」などとまたもや隣のバイクに言われる。 整備と言うとこの地に降り立った時になにやら人間が吾輩にもぞもぞとやっていたあれか・・・。 しかし長く同じ場所にじっと佇んでいるのも若干飽きてきたところだ。 新鮮なガソリンを喰らい思い切り走る為に生まれてきたバイクとしては動き走るのは本望である。 それにしても人間という生き物は「売却」なる行為が本当に好きなものだ。 吾輩より先に新しいオーナーの元へ行くバイクや逆に新たなバイクが店にやってくる時は必ずそのオーナーが店の人間と生きる糧の手渡し合いをしていった。 どうも売却とはしたりされたりするもので必ずしも一方的なものではないらしい。 隣のバイク曰く「ははっ そうだね。 売却の反対は購入って言葉で、君の場合は購入されたことになるね。あとあれは生きる糧で間違ってないけど正式にはお金って言うんだよ。」 オーナーとなる人間が生きる糧を店に売却して、店の人間は代わりに我らバイクを売却するという行為に新たに"購入とお金"なる言葉が出てくると吾輩は混乱してきた。 「まぁまぁ、今すぐ覚えなくてもいいと思うよ。そのうち分かるようになるさ。”お金”は渡し合いに始まって他にも色々な使い方があるんだって。僕は傍でよく見てたからそういうの覚えるのが早かったんだ。」 我らバイクにとって生きる糧はガソリンであり喰らうためだけのものであるが、人間の生きる糧であるお金と言うものは喰らうものではなくどうやら複雑な代物のようである。 しかし態々新しいオーナーになる為になぜ生きる糧であるお金というものを代わりに渡さねばいけないのか。 喰らわないものであるならばそんなものを渡したり貰ったりしてもまるで意味がないではないか。 人間のやり取りに理解できないでいると 「それもそのうち分かるかも。僕は前のオーナーがガソリン食べさせてくれた時に理解した。」と言われた。 まだ喰らうことしか分からなかった当時の吾輩には知るに少し早い事だったのかもしれない。 「あとちょっとで君はあの男の子の元に行くことになるけど、元気でいられるように祈ってるよ。」 隣のバイクはどこか感傷的になりながらそう言い放った。 吾輩は色々と教えてくれた事に感謝しつつ、ずっとこの店にいるのかと聞いてみた。 「それはわからない。でもいつかどこかで会えたらいいね。」 最後に掛けられた言葉に押されるように数日が経ったある日、新たなオーナーが吾輩を迎えに来て遂に店を出ることになった。 おっかなびっくり操作する新オーナーを乗せながら吾輩は久しぶりに空気をたくさん吸い込み、ガソリンを喰らいながら地面を蹴り出し街中を走り始めた。 この走り始めこそ約6年3カ月ほど続いた吾輩の京都を駆け抜けた日々の始まりなのであった。 PR
● Post your Comment
|
▼ カレンダー
▼ カテゴリー
▼
▼ 最新TB
▼ プロフィール
HN:
94年生まれ赤VC900銀黒
年齢:
39
性別:
男性
誕生日:
1984/09/20
自己紹介:
埼玉的都民
94年生まれな赤色RF400RVとRF900R 96年生まれな銀黒RF400RV 2000年生まれなBE5世代LEGACY B4 Blitzen 生まれ年多分2000年くらいな魔改造ママチャリ2台+クロスバイク1台 が今現在の愛車。もっと増えるか?!
▼ ブログ内検索
▼ 忍者アナライズ
|